本樂寺(ほんぎょうじ)は新潟市南区庄瀬に所在する法華宗のお寺です。

コロナ禍における仏事のとりくみ方

仏事は、丁重なしきたり・礼節の通りに近親縁者が一同に集まってお勤めすることが最も望ましいです。
しかしながら、本来あるべきお勤めの様式は、今現在世間に求められているコロナウィルス感染症予防とは正に対極にある営みで、これが原因でクラスターが発生すれば本末転倒になります。そのため、ここ最近では大切な人の葬儀・年忌法要について苦慮する方々がたくさんいらっしゃいます。

そもそも仏事には以下の大きく2つの役割があります。

① 故人・先祖を供養する宗教儀礼
② 故人・先祖に縁のある親族・知人等の関係者が集まり、親交を深める社交の催し

①の宗教儀礼は、亡くなった故人の魂が死後の世界で憂いなく安らかに過ごしていただくよう遺された関係者が心を込めて祈りを捧げる機会です。
一方で遺された関係者にとっても、大切な人を失った悲しみと向き会い、故人を思い出しすことによって月日の経過とともに徐々に気持ちの整理をして、新しい生活に踏み出す気持ちの切り替えを行う機会となります。

②の社交の催しは故人の供養をきっかけに縁のある関係者が顔を会わせお互いの近況を報告したり、代数を重ね疎遠になりがちな親族同士にあっては付き合いのあり方を確認して意思疎通する一種の情報交換の場としての役割も有ります。

①と②の両方を兼ねてお勤めする場合、大抵は(1)自宅での法要、(2)お寺での礼参、(3)墓経、(4)お斎の大きく4つの工程を行います。
従来の仏事では慣習に則って、たくさんの親類縁者にお参りしていただき、お斎の席では思い出話に花を咲かせにぎやかにお勤めすることは故人と参列者双方にとって大変有意義です。
しかし、現在のコロナ禍では大人数で集まること・飲食をすることは大変難しい状況となっております。
そのため、仏事を行う上でも「新しい生活様式」を意識してお勤めする必要が求められるようになって参りました。

具体的には、従来の慣習を吟味して上記の(1)~(4)の工程を別々に切り離して「今の状況ならどうやってやろうかな? 何ができるかな?」という意識をもってできることを組み合わせてお勤めするといった対応が必要になって参りました。
さらに大きく区分すれば、

《1》丁重なしきたり・礼節を意識するならば、時期をずらして厳粛に行う。
(故人のご命日・季節にこだわらず、感染状況の落ち着いた時期に行う。)

《2》年忌まわり・故人のご命日を意識するならば、小規模で行う。
(近郊の関係者等の少人数・お斎を省略する等)

以上のようなことを意識することが大事です。

コロナ禍にあって仏事を行う際特に目立つことは、これまで重要視されていた慣習通りにお勤めすることができず、思い悩むご家族が多くいらっしゃるということです。
これらのみなさま方のお気持ちは大変すばらしく尊いものですが、最も大事なことは形式的なことではなく、故人を偲んでできることを考えながらお勤めすることです。
「お勤めしなければいけない」という責任感・使命感の強い気持ちではなく、「どうやってお勤めしようかな」といった故人に対する親しみや回顧の気持ちを持って臨むことが、本来の仏事で大切な姿勢なのだと思います。

いずれにせよ、一刻も早くこの災禍が討ち果たされ、みなさま方が安心して以前の様に仏事のお勤めに臨んでいただける時が来るよう衷心より願う次第です。

 くれぐれもご身辺の安全に留意し、ご自愛くださいますようご祈念申し上げます。
仏事を行う上でも何かと不安の多い時勢ですが、何かありましたらどうかお気軽にご相談くださいますようお願い申し上げます。

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