唱題行(お題目を唱える修行)
1、法華宗の数珠
法華宗の数珠の珠は114個あります。
人間の煩悩の数108に、仏さまを意味する6つ、大きな親玉(釈迦・多宝)2つとやや小さい四菩薩(上行・無辺行・浄行・安立行)の珠からなります。
数珠の房は合掌する際に両手の中指に絡めて持ちます。その際、右手に二房(ミ・ギ)、左手に三房(ヒ・ダ・リ)の方を絡めます。
法華宗の数珠はお題目一万遍(一部)を数えられるようになっています。
2、お題目の数え方
- 「南無妙法蓮華経」とお題目を一遍唱えるごとに数珠の珠をくくります。
- 大きな親玉が2つあるので、これを目印に半周(50遍)、一周(100遍)とくくっていきます。
※数を数える都合上、端数を取って50や100で区切ります。 - 数珠の左手側の三房は5つの珠が二房と、10の珠一房になっています。
数珠をくくって一周したら、三房の10の珠を一つくくります。 - これを繰り返して十周すると唱えたお題目は1,000遍となります。
- 1,000遍唱えたら三房の5つ珠を一つくくります。
- 5,000遍唱えると5つ珠の房がいっぱいになるので、6,000遍からはもう一つの5つ珠をくくっていきます。
- これを繰り返して二つの5つ珠の房がいっぱいになると、唱えたお題目が一万遍となります。
3、お題目一万遍の功徳
お題目一万遍を一部という単位で数えます。
一部とは、妙法蓮華経(全八巻二十八品)の最初から最後まで全部という意味です。
古来より、お題目を一万遍唱えると法華経を全部読んだ事と同じだけの功徳を得られると云われております。
妙法蓮華経は文字数にして、全部で69,384文字(およそで七万文字)のお経です。
「南無妙法蓮華経」のお題目が七文字の言葉なのでこれを一万遍となえると、7文字×1万=7万という数になります。
これが妙法蓮華経の文字数と同じだけの数になるので、お経を全部読んだ事と同様の功徳が得られるという理屈になります。
修行を積んだ僧侶でも法華経一部を通して読むとなると膨大な時間を有します。一方、「南無妙法蓮華経」だと、誰もがすぐに唱えることができるので、一万遍の唱題行として法華経の修行に励むことができるのです。
4、「南無妙法蓮華経」の精神
「南無妙法蓮華経」はそもそも「南無」と「妙法蓮華経」の二つの言葉からできています。
「南無」は梵語(インドの言葉)を音訳したもので、意訳すると「帰依する」等と訳されます。
「妙法蓮華経」はお経のタイトル(題名・題目)になります。
すなわち、「南無妙法蓮華経」は「私は妙法蓮華経に帰依します」または「私は妙法蓮華経を信仰します。」という信仰の姿勢を仏さまに宣言する言葉であると言えます。
また、日蓮大聖人は「妙法蓮華経」の五文字をただのタイトルではなく、「一部の意」「一切経の神、一切経の眼目」等と全てのお経の肝心要であるとおっしゃっておられます。
つまり、お題目には経巻に記された内容全てが含まれているから「南無妙法蓮華経」を唱えると、誰もが法華経の真髄に触れることができ、一万遍唱えると法華経一部読経と同等の功徳を得られるということになるのです。