本樂寺(ほんぎょうじ)は新潟市南区庄瀬に所在する法華宗のお寺です。

精霊棚の飾り方

精霊棚しょうりょうだなの飾り方

 「精霊棚の飾り方」は地方によって違いますが、大体共通していることは、マコモを敷き、ミソハギを添えた洒水器しゃすいきを供え、キュウリ・ナス・ホオズキ等を使って飾り付けることが多いです。
 また、精霊棚の両脇には、少し笹の付いた青竹をたて、その竹と竹の間に素縄を張って、ホオズキ・色野菜・ソウメンなどをつり下げます。
 キュウリ・ナス・ホオズキ等を使うのは彩りが良く、夏の季節に手に入りやすいためだと思われます。
 この他、季節の野菜・果物や故人の好物だったものをお供えすることも大切な心掛けです。
 多忙な毎日の生活に追われて生きている私たちが、ひととき、心から今は亡き人たちと語り合い、長じては子供たち、孫たちにもその営みが伝え続けていってもらうよう言葉を交わすこともとても大切です。そうすることで年に一度のお盆の際に「ご先祖さま・大切な人が帰って来る」という思いを想い抱き、今は亡き人たちと今いる家族たちとの本当の心の語らいの場ができあがるのです。

『法華宗 新・仏事のしきたり』35頁参照

曼荼羅本尊まんだらほんぞん

 お曼荼羅は、日蓮大聖人が文字で認められたご本尊です。お曼荼羅の中心にお題目が書かれ、その両脇には釈迦・多宝の二仏、本化・迹化の諸菩薩、以下、十界が勧請されています。お曼荼羅の実体は法華経如来寿量品にょらいじゅりょうほん久遠本仏くおんほんぶつであり、ひげ題目(光明点)は本仏の慈悲・救いが十方・三世(過去・現在・未来)にわたり、全てに注がれることを意味します。
 法華宗では、信仰の証として各家庭一代に一幅、ご夫婦ごとに戒名をいただくと共に新調する慣習があります。
 お盆にご先祖さまの精霊がお家に帰って来られた際、「こちらでお過ごしください」という意味を込めて、戒名が記載されたお曼荼羅を精霊棚に飾ります。
 従来、一代に一幅ずつ作られていると由緒の古い旧家では精霊棚に収まらず、部屋の壁一面に何十幅ものお曼荼羅が飾られている場合もあります。
 お盆だけでなく、年忌法要の際にも該当する精霊のお曼荼羅を用意して法要を営みます。

つるし飾り

素縄にホオズキ・色野菜・ソウメン等を色々とつり下げるのは、お盆の原語「ウランバーナ」(逆さにつり下げられた苦しみの意)を表現したものだと言われています。

キュウリ・ナス

 キュウリ・ナスは農家にとって稼業の結実なので、生業の立派な成果をもって精霊をお迎えするという意味も込められています。
 キュウリで馬、ナスで牛をかたどって飾ることが一般的です。馬と牛は昔の乗り物の代表であり、キュウリの馬はご先祖さまにできるだけ早く来てもらおう、ナスの牛はお盆を終えたご先祖さまに少しでもゆっくりと帰ってもらおうという思いを込めて作られると言います。
 キュウリ・ナスをサイの目のコマ切れにしてお供えするのは、施餓鬼供養せがきくようの意味で行います。

マコモ

 マコモは暑い盛りの夏に精霊さまを少しでも涼しくお迎えしましょうという趣旨で使用されるさっぱりとした敷物です。

洒水器しゃすいき(水)

 ミソハギを添えた洒水器は法華経の経文中の「如以甘露灑・除熱得清涼・如従飢国来・忽遇大王膳(【大意】甘露をそそがれることにより熱が除かれ清涼を得るがごとく・飢餓の国から来た人がたちまち最高のご馳走の前に座るがごとく)」の経文が由来で、施餓鬼供養の意味もあり、餓鬼界の暑さに苦しむ餓鬼たちに涼しさと渇きを潤す施しをするためにお供えします。
 お盆のお供物はお施餓鬼の精神も込めてお供えしますので、飢えに苦しむ餓鬼の細い喉も楽に通るようにと、ソウメンやナス・キュウリを細かく刻んでお供えします。更に咽の渇いた餓鬼のためにミソハギで甘露の水を注ぎます。

霊俱膳れいぐぜん

 霊俱膳はお盆に限らず、故人精霊さまの食事としてお供えするものです。
 献立に特別な決まりはありませんが、一汁三菜(ご飯・お汁・おかず三品)が一般的です。盛付ける器には決まりがありますので注意が必要です。
 お盆の際には期間中のメニューが決まっているご家庭があるようですが、これは家庭内・親族内・各地域の中での伝統によるものなので、仏教や宗旨による決まりはありません。 


※おかずの器(平椀・坪椀)の側面には突起があります。
※汁椀と坪椀は間違えやすいので気をつけましょう。
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